デジタル一眼レフ初心者向けのお話です。
そんなこと知ってる、という方は素通りしてください。
カメラにある「Auto」設定は大変便利な機能です。
明るさを自動的に判断して「露出」を決めてくれますので、通常の条件の良い状態ならばシャッターを押すだけで適正な明るさで写真が撮れます。
「露出」というのは「絞り」と「シャッタースピード」の組み合わせで決まります。
・絞りはレンズの中に組み込まれていて、絞りを開けていくと光が沢山取り込まれ、明るく写ります。
・逆に絞りを絞る、つまり閉じていくと光が取り込まれる量が少なくなり、暗く写ります。
シャッターはフォーカルプレーンシャッターというものがボディの撮像素子の前(ミラーの後ろ)にあり、スリット状の幕が開いたり閉じたりします。
・シャッタースピードが遅いと、シャッター幕は長く開いていますので、撮像素子面にあたる光の量は多くなり、明るく写ります。
・逆にシャッタースピードが速いと、シャッター幕が開く時間は短く、スリット幅も小さくなりますので、光を取り込める量が少なくなり、写真は暗く写ります。
では、露出によって違う写真の写り方を見てみましょう。
まずは適正な明るさの写真です。ノーマル露出と言えます。
1/4秒 f8
続いて、明るすぎる写真です。「露出がオーバーだ」などと表現します。
1/2秒 f8
さらに今度はアンダーな写真、暗すぎる写真です。
1/8秒 f8
ノーマル、オーバー、アンダーといった露出に関わる用語も覚えましょう。
こうして露出が違っていると明るすぎたり、暗すぎる写真になってしまいますが、「絞り」と「シャッタースピード」の最適な組み合わせを自動的に判断してくれるのが「オート露出」です。
さらに、もし暗かった場合に自動的にストロボを発光させるとか、自動的にISO感度を上げて暗く写らないような仕組みを持ったものが、いわゆる「フルオート」の設定になります。
「フルオート」の設定にしてしまうと撮影者が細かく微調整することは出来ません。
例えば逆光での撮影では強い光が写ってきますから、カメラは「うぁ〜なんやこの強い光は!ちょっと絞ったれ〜」と判断します。
ところが実際には撮影者が意図する写したい被写体は影になっている部分であって、むしろ絞りを開けたいぐらいだったりします。
こうしたカメラ側の判断とズレが生じたときには撮影者は「露出補正」をする必要が出てきます。
単なる「Auto」ではなく「P」と略されている「プログラムオート」にすることで、露出のアンダー、オーバーを補正することが出来ます。+(プラス)がオーバー、つまり明るくする方向への補正、-(マイナス)がアンダー、暗くする方向への補正になります。
上の作例写真もプログラムオートで露出補正をしながら明るさを変えて撮っています。
我々プロカメラマンが全くのフルオート設定で撮影することは殆どありませんが、この「プログラムオート」の設定はよく利用します。
ワンタッチで露出補正が出来ることと、プログラムシフトと言って、「シャッタースピード」と「絞り」の組み合わせ方も変えることが出来るからです。
例えば、1/125秒 f8 と1/60秒 f11は光の取り込まれる総量は同じなので同じ露出と言えるのですが、シャッターと絞りの組み合わせ方が違うだけなのです。
「プログラムシフト」はこうした組み合わせ方を選択できる機能です。
いつも「Auto」の設定だけで撮影していると露出で失敗しても、カメラの中で何が起きたのか判り難いということが言えます。
基本的には「プログラムオート」がお勧めですが、
最初は修行のつもりで「マニュアル露出」で「絞り」と「シャッタースピード」を自分で調節しながら失敗を重ねたほうが、露出の仕組みを理解するには役立つ方法でしょう。
露出の仕組みが理解できて、カメラ内部で何が起きているのかが分かれば、
「プログラムオート」や「シャッター優先オート」「絞り優先オート」なども使いこなせるようになるでしょう。
追記;そもそもこのAUTOという設定は初級、中級機ぐらいまでで、上級機になるとありません。