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支払督促のお話〜その2

支払督促が送達されたとしても、まだまだ安心出来ません。
支払督促自体は訴訟ではありませんので、それ自体に法的拘束力はありません。

では、その後どんな流れになるのか?
裁判所WEBにも流れ図が載っていますが、
裁判所からいただいた資料がありますので見てみましょう。

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支払督促を受け取った相手がすんなり支払ってくれるのであれば一件落着なのですが、
困るのは知らん顔された場合ですね。
その場合は次のステップとして「仮執行宣言の申立て」をすることが出来ます。
そうすると今度は裁判所から「仮執行宣言付き支払督促」というのを相手方に送ることになります。

それでも無視されて支払われなかった場合、
いよいよ「送達証明申請」をして「強制執行手続き」に入ります。

つまり、支払督促自体はあまり法的拘束力はありませんが、
ステップを踏んでいくに従って、最終的には強制執行まで持ち込む事が出来る流れになっています。

もう一つ面白いのは、
相手方は当然、異議申し立ても出来るのですが、
相手が異議申し立てをした時点で、
自動的に支払督促から訴訟手続きに切り替わる、という点です。

つまり裁判になるわけです。
請求金額が140万円を超える場合は地方裁判所、
140万以下の場合は簡易裁判所で争われます。
また、それまでの債権者、債務者という呼称が原告、被告という呼称に変ります。

なんか、これはこれでワクワクしちゃうね。
来るなら来い!って感じですかね。

様々なケースがありますので、まだまだ油断は出来ません。
いたずらに時間延ばしだけをされてしまう事だってあるかもしれません。

例えば考えられるのは支払督促を送達しても相手が不在を装って受領しない場合ですね。
そうするとこっちも「再送達の上申」をしなくてはならず、面倒です。

ココから先は憶測になりますが、
もし万が一悪意をもって受け取れない状況を作っていたりしたら、
民事事件じゃなくなる可能性もありますよね。
つまり被告は支払う気がないのに仕事を発注していたのだとしたら詐欺事件ですよ。

こういう時こそ人間性が見えてきますので、落ち着いた大人の対応をお願いしたいところです。

未払いで困っているカメラマン、デザイナー、クリエーター、 SOHOの皆さん、決して諦めずに頑張りましょう。
弁護士なんか頼まなくたって自分で出来ると思いますよ。

この記事が少しでも役に立てれば幸いです。

撮影代金の未払いと支払督促のお話

世知辛い世の中でございます。

金の切れ目が縁の切れ目、なんてえことも申します。

きょうはちょっと重いテーマですので話が長くなりそうですがお付き合いください。

世の中、不景気になりますと真っ先に削減されるのが広告費でございまして、我々フォトグラファー、デザイナーなど広告業界で生計を立てている身には厳しい世の中になって参ります。
もちろん、それは広告代理店、広告制作会社にとっても同じでございまして、数ある広告代理店の中でも某大手一社だけが一人勝ち状態だという話も耳にしたりもします。

まあ、ですから本来なら皆で助け合っていかなくては行けないところだと思うので、私も少ない予算でも引き受け、手を抜く事無く頑張っています。

それでも、その撮影代を踏み倒そうとする奴がいるのは残念でなりません。
長年カメラマンをやっていて、ここまでこじれるのは初めてでございます。

さてさて、前置きはこれくらいにして本題へ入りましょう。

私同様、
撮影代が支払われない、デザイン料が未払い、、等など
個人で活動していて未払いに困っている人は相当数いることでしょう。

そこで私自身が先週、裁判所に行き「支払督促」の申し立てをしてきましたので、
折角ですから、この経験を困っている皆様と共有できるようになるべく詳しく紹介していきましょう。

支払督促は訴訟ではありませんが、
言うなれば、
公的機関である裁判所が後ろ盾になってくれて相手方に対して支払の督促をしてくれる、というものです。

まずはこちらでその内容を確認してみてください。
裁判所のWEBサイト|支払督促

未払いというと、弁護士に相談→訴訟、などと考えがちですが、
そうなると個人営業している身にとっては敷居が高く、
費用もかかりそうで、諦めてしまいがちです。

でも、「支払督促」は我々のような個人でも比較的簡単で、費用もかかりません。
100万円の請求額でも手数料に相当する印紙代は5000円です。
印紙以外に添付する切手とはがき代が1250円分、相手方が会社の場合は法人登記謄本が必要なのでこれに1000円かかります。
今回、約53万円の請求額なので印紙代は3000円、その他含めた総額は5250円。あとは裁判所や法務局へ行くための交通費、ということになります。

自分でやってみると、なぁ〜んだこんなに安く済んじゃうの?って感じ。
弁護士に相談、なんて全く必要ありません。

裁判所へ行くと書類の書き方など丁寧に教えてくれます。
考えてみれば当たり前の話で、裁判所のコトは裁判所に聞けってことです。

何かというと「弁護士に相談、、」と思ってしまうのはいわばスリコミなんでしょう。
そうじゃなくて直接裁判所に相談すればよいのです!

私の場合はある程度書類を揃えてから裁判所へ行ったので、こういう書き方のほうがよい、といった細かいアドバイスをもらって、それを持ち帰って書き直し、2度目には受理されました。

支払督促に必要な書類はこちらからPDFでダウンロード出来ます。
支払督促申立書

↑書き方の記載例もありますから、参考になります。
基本は支払督促申立書、当事者目録、請求の趣旨及び原因、の3枚です。

私の場合も記載例を参考にしながら、よくわからないところは鉛筆書きで書いて後は裁判所で教えてもらうつもりで霞ヶ関まで行きました。

ウチは横浜ですが、相手先会社が東京都ですから霞ヶ関まで行きました。
で、最初どこへ行っていいか分からなくて戸惑いましたが、
目指すの簡易裁判所の民事です。日比谷公園に近い側の庁舎です。

行ってみると銀行の窓口みたいに札があって順番を待ちます。
ここは相談窓口みたいなところで、手ぶらで相談に行っても全然O.Kのようです。
むしろ、初回なのに書類を揃えていったので、「なら、話は早い」といった顔されました(笑)

驚いたのは様々な業種の記載例がありまして、スタジオ代の未払いの記載例なんかもみせてくれました。

で、私の場合、一回の撮影分だけではなく細かい明細もあるため書ききれなくて困っていたのですが「請求の趣旨及び原因」の書類を「別紙」に分けて書き出すという技を教えていただきました。

それと、「支払督促」専門の部署が錦糸町にありそちらへ行くと書類提出=受理となることを教わりました。
どういうことかと言うと、霞ヶ関で書類を受け取る事も出来るが、その書類を錦糸町の専門部署へ送付し審理してもらうということらしいです。

ですので書類の提出は直接錦糸町の「東京簡易裁判所 墨田庁舎」まで足を運びました。
ここは支払督促専門の窓口があります。

ここでも係官の指導で書き足したりもしたのですが、鉛筆書きで良いというのです。
?っと思ったのですが、
そのわけが分かりました。
最終的に書類が完成したら、
「では1Fにコピー機がありますからコピーを取ってきてください」
と言うのです。

なるほど、鉛筆書きは元本にならないが、コピーを取れば消せないので元本として受け付けてもらえる、ということです。

皆さんも、書類はまず鉛筆書きで書きましょう。
係官の指導のもと、訂正や加筆、修正など入りますので、
消しゴムと鉛筆で徐々に完成させていけばよいのです。

さて、最終的にどんな書類になったのか、
記載例として参考にしたいですよね。
一挙公開します。

1moushitate.jpgまず最初は「支払督促申立書」
タイトルは「写真撮影料請求事件」とあります。
申し立て手数料は請求金額によって変ります。
分かりにくいのは「申立書作成及び提出費用」800円ってとこ。
これはこの書類を作成する手間賃として相手方に800円請求出来るという解釈らしいです。なんで800円かは分かりませんが、、

元本には印鑑が必要です。< br />

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2枚目は「当事者目録」

債権者は私。
債務者は相手方です。
相手方が法人の場合は登記簿謄本の添付が必要になりますので相手方所轄の法務局へ行って謄本をもらってこなくてはいけません。手数料は1000円でした。

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「請求の趣旨及び原因」

この書式はダウンロード版と異なります。
最初に霞ヶ関に行った時に、こういう書式もあるということで貰ってきました。

中程の「別紙の通り」にチェックを入れると別紙を添付することが出来ます。

年6パーセントの遅延損害金という部分は錦糸町で教えていただきまして、債権者の権利としてそのくらいは請求出来るのだそうです。

契約の内容の「債権者はカメラマンであり、、、」というくだりも錦糸町へ行ってから加筆しました。

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別紙には撮影の内容を詳しく書いています。
日付は撮影をした日です。

合計金額は約140万円あります。

その後、少しずつ払ってもらいましたが、
現在の残金が約53万円ということです。

少額でも定期的に支払ってくれるのならよいのですが、中々定期的に支払ってもらえず、しつこく催促しないと知らん顔ってのはいただけない。

それにしても、こうしてみると私も随分安い値段でやっていたんだなぁと思う。
相手方の会社も厳しいのは分かっていたのでギリギリまで安くやってあげていたはずなのに、、、

さてさて、参考になったでしょうか?

気になるのは、この後の流れですよね。

まだまだ一件落着ではありませんが

長くなりましたので、ここで一度切りましょう。

続きは次回、、、